制作過程

制作過程

当家では、代々髙取焼当主にのみ
受け継がれる『秘伝書』をもとに
登り窯や唐臼など伝統技法を守り、
今に受け継ぎ作陶しています。

MAKING PROCESS制作過程

唯一無二の名器を生み出すには、
薄造りを叶える土と技術、
さらに一子相伝にて調合される
釉薬【七色くすり】に
秘法が込められています。

  • 01土造り
  • 02成形・乾燥
  • 03素焼
    釉薬掛け
  • 04窯積み
  • 05窯焚き
  • 06冷却・
    窯出し

01土造り

髙取焼宗家の土は、やや鉄分を含んだ「小石原」で採れる土と福岡市の七隈で採れる白土を原料としています。2種類の土を独自で調合し、伝統技法によって陶土を一から制作しています。焼成するとキメが細かく、薄くて軽い磁器に近い美しい陶器となります。「唐臼」(からうす)で原料の土を1か月間砕き搗いて、水に溶かしてざるで濾していきます。2〜3ヶ月程かけて濾していった泥漿をポンプで吸い上げて、板状の粘土を作ります。その後、土練機によって真空をかけて筒状にし、数か月間、寝かせます。臼で砕かれた土は、粘りが強く伸縮性があり、薄手の茶入などを作るときに欠かすことが出来ません。機械化されてつくられた粘土は釉薬をかけない部分(土味という)がとても荒っぽくて、味気ないのです。手間と時間を惜しまず作られる土の味わいが髙取には不可欠なのです。

02成形・乾燥

成形・乾燥

成形はろくろで一つひとつ丁寧に作り上げていきます。作者の心を写せるかどうか、豊かな才能とたゆまぬ努力が必要です。

03素焼・釉薬掛け

素焼・釉薬掛け

素焼はおよそ900度で焼成します。髙取焼宗家の釉薬の原料は自然界から得られる『藁灰』『木灰』『サビ』『長石』の4種です。その調合方法は「秘伝書」に記され、一子相伝により受け継がれています。

―現代は科学的に薬品の調合により何色でも導き出されるようになりました。しかしその出来上がりの結果は現代科学の敗北に終わるのです。なぜなら昔から使っている釉薬の原料は、一つ一つが純粋ではなく、何かしらの不純物を含有しています。それが発色の段階で純粋科学薬品では絶対に生み出すことができぬ、なんともいえぬ色合いを作り出しているのです。―
(『炎は海を越えて』十一代 髙取静山著)より一部抜粋

04窯積み

窯積み

髙取焼宗家では薪窯を使っています。大きな登り窯と小ロット用の単窯です。どちらも窯の内部は広く、火に近いところと上部は火力が強いですが、下部と火に遠い奥の方は比較的に弱いです。焼物と窯との空間の広さによって火の流れが変わるので、作品を置く場所も考えて窯積みしなくてはなりません。

05窯焚き

窯の火を入れる時、お神酒などを供え、神聖な心で窯の成功を祈ります。窯焚きは、職人達の長年の経験で、薪をつぎ足し窯の温度を調整していきます。約1250~60℃で焼成します。

06冷却・窯出し

冷却・窯出し

窯の火を止めてから窯の内部が100℃以下になるまで最低3日以上冷却します。髙取のように薄手のものは急激な温度差で割れることがあり(=風割れ)これを防ぐためにゆっくり一つ一つ丁寧に取り出していきます。